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Column

2024.7.30

アルミ素材ができるまで

アルミニウムは現在では非常に身近な素材ではありますが、素材として知られるようになってからはまだ200年程度しかたっておらず、比較的新しい金属といえます。
生活に欠かせない金属となっているアルミニウムですが、精錬するには多くの工程を経なければならず、大きなコストもかかります。
今回は、そんなアルミニウムができるまでをご紹介します。

 

 

アルミニウムの原料

 

アルミニウムを含む鉱石には、ボーキサイト・長石・雲母・カオリナイトなどがありますが、工業的にはほとんどの全てがボーキサイトから取り出されています。ボーキサイトは一般的な鉱石のイメージとは異なり比較的柔らかいもので、灰色や赤褐色をしており、酸化鉄やケイ素なども大量に含んでいます。

 

 

国内精錬はされていないアルミニウム

 

ボーキサイトは日本では産出しません。産出量が多いのはオーストラリア、中国、ギニアなどです。一時は600千トンもボーキサイトを輸入して国内で精錬していましたが、現在ではアルミニウム精錬工場自体がなくなっており、耐火物・セラミック部材を製造するために必要なアルミナ製造などに使う分量をわずかに輸入しているのみになっています。
現在日本では、 国内でアルミニウムの精錬は行っておらず、中国などからアルミニウムになったものを輸入しています。これは、アルミニウムの精錬の過程で大量の電力を消費することが影響しています。原油の高騰により徐々にアルミニウムの精錬では利益が出なくなってしまい、2014年に最後の工場が閉鎖となりました。
現在では、石油が産出される国や水力発電などの発電が盛んな国を中心としてアルミニウムの精錬が行われています。

 

 

アルミ素材ができるまでの流れ

 

アルミニウムの精錬方法としては「バイヤー法」と「ホール=エルー法」があり、 これらの併用が主流です。
この章ではアルミ素材ができるまでの流れを大きく3つの段階に分けてご紹介します。

 

① ボーキサイトを「アルミナ」という物質に変化させる

まず、ボーキサイトを粉砕し、か性ソーダ液で溶かすことでアルミン酸ソーダを作ります。 アルミン酸ソーダに水を加えて化合物を分解すると水酸化アルミニウムの結晶ができますので、それを1000℃前後の熱で焼成すると「アルミナ(酸化アルミニウム)」ができあがります。「アルミナ」は白い粉状の物質です。

 

②「アルミナ」と溶かした鉱物を電気分解する

アルミナを電解炉に入れ、液体状にした氷晶石などの鉱物と混ぜて電気分解させると、アルミナは酸素とアルミニウムにわかれます。このアルミニウムを塊にしたものがアルミニウム地金です。これにより、99.8パーセント程度の純度のアルミニウムを取り出すことができます。さらに純度の高いアルミニウムを取り出したい場合は、ほかの方法で電気分解を繰り返す「三層電解法」が行われます。
この工程において、大量の電力を消費します。

 

③加工を施してアルミ素材にする

アルミニウム地金を原材料として、鋳造、押出、圧延、鍛造などの加工を施すことでアルミ製品の素材にします。

 

 

まとめ

 

アルミニウムはボーキサイトという鉱物から取り出されますが、この原材料となるボーキサイトは日本では算出されません。アルミ素材ができるまでには鉱物を溶かしたり電気分解をしたりすることになり、その過程で大量電力を消費します。石油高騰により電力消費が大きいアルミニウムの精錬は日本では行うことが難しくなり、現在では完全に輸入に頼っている状態です。
アルミニウムは作り出すことが難しい反面、リサイクルはしやすいという側面があるので、国内でも世界でもリサイクルが積極的に行われている素材でもあります。
軽くて強く、錆びにくい生活に欠かせないアルミニウムという素材を大切に活用したいものです。

 

 

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監修者

  • 取締役社長

中 保博

昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
設計通りに加工することは簡単です。
その背景にある、お客さまがアルミを加工したい目的はなにか、どのようなカタチで最終品として使われるのか、どうしたら便利に利用されるか。
アルミ加工+「X」を考えてお話することで、お客さまや消費者さまの「!」を生み出します。