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Column
2024.3.28
テフロンコーティングの特徴(メリット)とは?主な種類やデメリットまでご紹介
テフロンコーティングには多くの優れた特徴(メリット)があり、様々な商品に活用されています。身近なものではテフロン加工のフライパンがありますし、様々な装置や機器に使われているボルトやナット、ベアリングのような小さな部品、化学プラントのバルブやポンプ、大きなものでは航空宇宙産業機器などにも使われています。
今回はそんなテフロンコーティングの特徴や種類、デメリットまでご紹介していきます。
テフロンコーティングとは?
テフロンコーティングとはフッ素樹脂コーティング表面処理の一種です。テフロンとは、アメリカの米国ケマーズ社(旧デュポン社)のフッ素樹脂の登録商標であり、ライセンス契約を結んだ加工メーカーのみがこの名称を使えるようになっています。
テフロンコーティングの特徴(メリット)とは?
*非粘着性(難付着性)
非粘着性はフッ素樹脂の代表的な特性です。コーティングを行った後は、付着性が強い粘着物であっても付着しない、または付着しにくくなります。固着してしまっても、簡単に取り除くことが可能です。
*撥水・撥油性
フッ素樹脂は水や油を弾くので、汚れが付きにくくなります。この性質により、洗浄・掃除がしやすくなります。この性質を活かし、身近なものでは防水スプレーにフッ素樹脂が使用されています。
*低摩擦性(すべり性)
個体の中でも摩擦係数が非常に小さい素材であり、潤滑性に非常に優れています。
*耐熱性・耐寒性
フッ素樹脂は寒さにも暑さにも強く、-250℃の低温から260℃の高温にも長時間耐えることができます。種類によっては300度以上まで耐えられるものもあります。低摩擦性もあわせもつため、自動車や動作する工業用部品にもよく利用されます。
*耐摩耗性
フッ素樹脂は耐摩耗性があり、ひっかきや金属的接触があっても摩耗をおさえることができます。低摩擦性(すべり性)や非粘着性もあることから、機械設備などにコーティングをすると寿命を延ばす効果が期待でき、部品交換等の頻度が低くなるのでコスト削減が可能です。
*耐薬品性・耐蝕性
フッ素樹脂は耐薬品性や耐蝕性に優れているので、酸やアルカリ等の薬品に侵されたり、腐食したりすることがほとんどありません。皮膜が薄いと薬品・溶液が浸透して腐食が進みますので、被膜を厚くして腐食を防ぎます。
この特徴を活かして、製造過程で薬剤を使用する半導体部品に使用されます。
*電気特性(絶縁性)
フッ素樹脂は優れた電気絶縁性を有しています。誘電率が低く、電気抵抗率が高いので、電気を通したくない電子部品や機械の生産に用いられることが多いです。15,000~20,000ボルトの高電圧でも絶縁抵抗を行います。
主なコーティングの種類
*PTFE
正式名称は『四フッ化・ポリテトラフルオロエチレン』で、四フッ化エチレンや、4Fと呼ばれています。
耐熱性(耐熱温度260℃)、非粘着性、低摩擦特性に優れていますが、、耐蝕性は低めです。何かをすべらせたり、切断加工したりする場合に活用されています。
*PFA
正式名称は『ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂』といい、PTFEの改良樹脂です。耐熱性(耐熱温度260℃)、非粘着性、耐蝕性に優れており、特に耐蝕性が高いです。非粘着性も、PTFEよりすぐれています。熱溶融粘度が低いので、連続被膜を得ることができます。あらゆる性能に優れているため、様々な場面・用途で活用されています。
*FEP
正式名称は『四フッ化・六フッ化プロピレン共重合体』といい、四・六フッ化、4F6Fと呼ばれています。PTFEの改良樹脂です。非粘着性、耐蝕性に優れていますが、耐熱温度は約200℃とやや低いです。 焼成によってピンホールの少ない被膜を得ることが可能です。粘着させたくない環境において活用されています。
*ETFE
PTFEとPEの中間の性質を持つフッ素加工樹脂で、既にご紹介したフッ素樹脂と比較すると、非粘着性、耐熱性、耐薬品性においては少し劣っています。一方で、耐摩耗性、耐薬品性、電気絶縁性、低摩擦性、耐放射線性に優れています。耐熱性が低いことにより、加工成形しやすいという特徴もあります。耐放射線特性の高さにより、原子力関連の電線や配線にも使用されます。
テフロンコーティングのデメリット
有効な特徴(メリット)がたくさんあるテフロンコーティングですが、デメリットもあります。
この章では、3つのデメリットをご紹介します。
成形が難しい
フッ素樹脂の特徴である非粘着性や低摩擦性によって、非常にすべりやすくなっています。そのため、成形が難しく、デメリットとなります。
高価格である
1つ目のデメリットにあげられた成形の難しさゆえに、価格が高くなる傾向にあります。
フッ素樹脂塗料も高級塗料として知られており、アクリル樹脂塗料の倍程度します。
衝撃に弱い
テフロンは衝撃に弱いので、叩いたり擦ったりするとキズや凹みが目立ちやすいです。
まとめ
テフロンコーティングは高い耐熱性、非粘着性、撥水性、低摩擦性、耐薬品性など優れた特徴を持っており、様々な製品に活用されています。
テフロンコーティングの種類は複数あり、それぞれに持っている特徴は異なりますし、デメリットもあります。自社の製品にはテフロンコーティングが向いているのか、中でもどんな種類を使うべきなのか、最適な選択をするにはプロに相談してみてくださいね。
監修者
- 取締役社長
中 保博
昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
設計通りに加工することは簡単です。
その背景にある、お客さまがアルミを加工したい目的はなにか、どのようなカタチで最終品として使われるのか、どうしたら便利に利用されるか。
アルミ加工+「X」を考えてお話することで、お客さまや消費者さまの「!」を生み出します。