アルミのお役立ち情報
Column
2023.12.27
アルミの表面処理で付与できる性質と方法について解説
少し周りを見渡してみると、アルミを使ったモノがたくさんあることが分かります。
アルミ缶やアルミホイル、フライパンややかんといったキッチン用品、水筒や弁当箱にも使われています。
お菓子などの食料品の梱包材もアルミのものがたくさんありますから、アルミは私たちの生活に欠かせない素材といえるでしょう。
そんなアルミですが、より有効かつ最適な形で活用するためには、表面になんらかの処理をしなければならないケースがあります。
そこで今回はアルミの表面処理によってどんな性質が付与できるのか、また、表面処理方法についてご紹介しますので、アルミを活用した製品を作るためにはどんな表面処理が最適なのかを知るヒントにしてくださいね。
アルミの表面処理によって付与できる4つの性質
アルミは、軽くて加工しやすいという特徴がありますが、表面処理をすることで、さらに活用できる性質を付け加えることができます。
この章ではその4つの性質についてご紹介します。
耐食性
もともと耐食性が高いアルミですが、湿気に強いとはいえません。
そのため、湿気の多い場所で使用した場合、酸化が進んで腐ってしまうことがあるのです。
アルミの表面に処理を施すことで、湿気にも耐えられる耐食性が付与できます。
絶縁性
表面処理を行うことで、絶縁性を付与することができます。
絶縁性とは、電気を通しにくい性質のことです。
機械部品などにアルミを使う時には、この絶縁性の付与ができるという特性が特に活かされます。
表面硬化
アルミの加工しやすさは大きなメリットですが、だからこそ、柔らかく傷つきやすいというデメリットにもなってしまいます。
そこをカバーするために、表面処理によって硬さという性質を付与することができます。
表面硬化によって、より長く安心して使えるとともに、見た目の美しさも保たれます。
装飾性
アルミの製品はその見た目の美しさも魅力だと思いますが、表面処理によって装飾性を高めているのです。
光沢を加えたり、ツヤ消しをしたりするだけではなく、色を付けることもできます。
代表的な4つのアルミの表面処理方法
アルミの表面処理方法は様々な種類がありますが、代表的な方法は4つあります。
この章では、それぞれの方法についてご紹介します。
アルマイト処理(陽極酸化処理)
アルマイトは、最も一般的な表面処理の方法です。
電解液といわれる電気の伝導性を有する液体に、アルミをいれて電解処理することで、酸化皮膜を生成させます。
表面に無数の孔があいたアルマイト皮膜にアルミの表面が保護されるため、錆に強い耐食性が得られ、さらに耐摩耗性や撥水性、電気絶縁性や高い硬度を付与することができるのです。
また、カラーアルマイトで表面処理を行うと、様々な色のアルミ製品を作ることができ、これにより装飾性も付与することができるのです。
アルマイト処理をした製品は幅広く、家庭用のフライパンや水筒、電車や自動車の部品などがあります。
化成処理
化成処理とは、アルミの表面上に処理剤を塗布し、化学反応を起こして酸化被膜を形成する表面処理です。
アルマイト処理と比較して被膜自体が薄いという特徴があるため、耐食性等の性質は少し落ちてしまいますが、より簡単に表面処理を行うことができるというメリットがあります。
また、アルマイト処理をすると絶縁性が増しますが、化成処理は電気を通します。
さらに、アルミとの密着性が高くなるため塗料との親和性が向上するので、塗装の下地処理に適しているという特徴があります。
メッキ加工
メッキ加工は、加工素材の表面を金属で覆う処理方法です。
アルマイト処理や化成処理とは異なり、酸化皮膜でなく金属の被膜で覆うという点に最大の特徴があります。
耐食性や装飾性の付与が可能です。また、導電性や抗菌性も高めることができます。
メッキ加工には大きく2つの種類がありますので、それぞれについて簡単に紹介します。
・電解メッキ
電気でメッキ処理をする方法で、アルミ以外の素材にも使え、価格も比較的安いうえに、処理時間も短いです。
ただし、複雑形状の物の処理には不向きです。
・無電解メッキ
無電解メッキは、電気を使わず化学変化で処理をする方法です。
電解メッキと比較すると価格が高く処理時間も長いですが、複雑形状の物のメッキ処理にも適しています。
塗装処理
塗装は、はけやスプレーなどによって塗料を付着させ、樹脂皮膜を形成する処理方法です。
耐久性や耐食性を付与することができ、様々な色の塗料を使用することで装飾性を高めることも可能です。
塗装処理の中でもスプレー処理が最も簡単な方法ですが、他に電着塗装、静電塗装、粉体塗装があります。
電着塗装は電流を流して付着している樹脂被膜を乾燥させる方法なので電着メッキとも呼ばれますが、金属ではなく樹脂皮膜であるので、塗装の仲間として分類されています。
電着塗装は他の塗装処理と比較して樹脂皮膜が均一に付着するので、生産性に優れており、大量生産の際に採用されることが多いです。
まとめ
アルミの表面処理によって付与できる性質と、その処理方法についてご紹介してきました。
アルミの特性と最適な表面処理を組み合わせることで、より魅力的な商品作りができるでしょう。
今回紹介した4つの表面処理方法の中でも、さらにどのように処理をすることが適しているのか、最適な方法を知るためには、まずはプロの業者に相談してみてください。
きっと良いアドバイスがもらえると思いますよ。
監修者
- 取締役社長
中 保博
昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
設計通りに加工することは簡単です。
その背景にある、お客さまがアルミを加工したい目的はなにか、どのようなカタチで最終品として使われるのか、どうしたら便利に利用されるか。
アルミ加工+「X」を考えてお話することで、お客さまや消費者さまの「!」を生み出します。